子犬と接して居る時、甘噛みが本気噛みにつながるという諸説がありますが、甘噛み(=遊び)と、本気噛み(=威嚇や攻撃)は異なります。ただし、遊びのなかで、本来の犬種特徴や犬の性格のなかの攻撃性を引き出して助長させる行動をしてしまうと、意図せず攻撃的な犬にしつけてしまう可能性があります。犬の「噛む」という行動をよく理解して、正しく導いてあげましょう。

仔犬のしつけ 甘噛とは?

甘噛みとは、
本来犬は群れで生活する動物です。群れの中で産まれ、母犬や兄弟姉妹と接しながら、遊びや狩りなどの社会性を身につけて育ちます。人間の家庭の中には入り、家族の一員として生活を共にすることも、犬にとっては「群れでの生活」との認識になります。家族の一員となった子犬にたっぷり遊ばせて、運動させることは飼い主の大切な役目です。子犬にとって甘噛みすることは、自然な行動であり、決して悪い行動ではありません。かといって、共に暮らす人間が血を流すほどの痛みを我慢する必要もありません。子犬が甘噛みするチカラの加減がわからないのであれば、適切な方法で加減を教える必要があります。

甘噛みが激しくヒートアップしてしまった場合

怒らず、静かに遊びを終了しましょう。噛まれる手足を振りほどく行動は、益々子犬を興奮させてしまいます。人間が子犬と目を合わさず、興味を示さず黙ってパソコンがフリーズするかのように、甘噛みがストップするまで無視をして、遊びをストップします。この時、テンションの高く、甲高い声で「ヤメテ」といっても声の高さは興奮につながるため、無言がベストでしょう。もしも、「ダメ」のコマンドを教えるのであれば、なるべく低くて落ち着いた声で伝えることが大切です。黙って部屋から出て行って遊びをストップすることもひとつの方法です。犬にしてみれば、「遊ぼう」と楽しく誘っていることと「怒られる」を繋げることは今後のパートナーとしての関係性にもどこかで歪みが生じてしまいます。この力加減で甘噛みしたら「楽しい事(飼い主さんとの遊び)が終わってしまった」「大好き(飼い主さん)が去ってしまった」と学習させることが、犬に怒りの気持ちを与えるよりは、簡単でかつ円満な方法です。

手の甘噛みが激しい場合

甘噛みの標的になっている体の部位をお聞きすると、飼い主さんの手や指が標的になっている事が多いです。子犬とじゃれて遊ぶ際、手で撫でたり、戯れさせたりしていることはないでしょうか?遊びの延長上にある飼い主の手のひらが子犬の興味を持つ獲物のように不規則で予測不能な魅力的な動きをさせてしまったために、狩猟本能を刺激し、オモチャと認識させてしまっている場合が多いようです。この場合、人間の手がオモチャではないことを理解してもらう必要があり、手をヒラヒラとさせて遊ばせるのをやめ、適切な犬用のオモチャを用意して遊ばせてあげましょう。手のひらだけではなく、カットソーやトレーナーの袖も同様に甘噛みの対象となってしまっている場合、それに代わるロープ状のオモチャや、ぬいぐるみなど代わりとなるものを与えます。この時、着ない洋服を与えることはできる限り避けた方が良いでしょう。子犬にとって「着る服」と「着ない服」の区別が難しい場合があるため、なるべく「犬のオモチャ(遊んで良いもの)」がわかりやすいように教えましょう。

硬いものを噛み続ける

産まれてからの月齢4カ月頃から、子犬の乳歯が抜け、永久歯に生え変わります。この時、抜け落ちる乳歯はムズムズして、子犬は硬いものを齧って生え変わりを促す行動をします。齧るものが椅子の足だったり、家具の角だったり…家の中のあらゆるものが対象になる場合も多いようです。噛まれて困るものがあれば、噛むことを怒るのではなく、噛まなくてよい環境を作ってあげましょう。具体的な事例としては、①硬いロープなど、噛むためのオモチャを与える。②噛まれて困る家具は置かない。③噛まれて困る家具のある部屋に犬を入れない。一日中クレートやサークルに入れっぱなしの飼育は望ましいとは思えませんが、飼い主が留守中や、食事中、入浴中など犬から目を離さざるを得ない時間帯はクレートやサークルに入ってもらうなどの時間のメリハリをつけることや、キッチンや客間など犬が入ってはいけないエリアを決めて、犬用または、ベビーゲートなどを活用するのもオススメです。

仔犬の噛み癖とは?

噛み癖とは
一般的に言われる「噛み癖」は、人間の“無くて七癖”のような行動とは異なります。正確には、犬が自分の身を守るために「嫌なこと」への威嚇であったり攻撃する行動で得られた結果が学習につながったものです。具体的に言うのであれば、ブラッシングのために無理矢理押さえつけられたという「嫌な経験」に対して、「嫌」という意思表示を「噛む」という行動で止めさせられたという事実が積み重なると、犬は「噛む」ことによって「嫌なこと」が止めさせられると学習します。ブラシを持つと逃げたり、噛んだりするのは、その後に関連する「押さえつけられる」といった過去の経験への回避行動であり、ブラシを見て反応しているのです。(※パブロフの犬の事例と同様)愛犬が「噛む」行動をするということは、何かしら犬が受け入れられない「嫌なこと」があるはずです。単に「ダメ」と言葉で伝えるのではなく、何が原因で嫌なのかを考え、その原因を消去する方法を突き止める法が「噛む」への問題行動への解決策につながります。