犬がトイレ以外のいろんな場所にオシッコをする時、単に排泄目的ではなく、縄張り意識からくるマーキングと呼ばれる犬の本能的行動があります。主にオス犬に多い行動ですが、メス犬でもマーキングをする犬もいます。室内飼育の場合、家の中でのマーキング行動は本能とはいえやめてもらいたい行動のひとつです。ここではマーキングをさせない対策をご紹介します。
オス犬のマーキング
月齢6カ月以降、仔犬の頃に比べると排泄の頻度は減ってきたと思う頃、特に成熟期を迎えるオス犬にに増えてくる行動です。自分のオシッコの臭いをつけて縄張りを知らせたいという行動をします。マーキングの行動が完全に無くなるわけでわありませんが、行動が出る前に去勢手術を受けておくとマーキングが少なくなるとも言われています。また、早いうちに去勢手術を受けておくと、病気のリスクを抑えられるとも言われています。
こんな時、マーキングしてませんか?
犬友達を家に招いたら縄張り争いのマーキング行動が始まった
飼い主さん同士の意思で集まったものの、犬の気持ちを代弁すると、「自分の縄張りに群れでない犬が入ってきた。ちゃんと僕の場所を教えなくては!」「僕の縄張りではない、新しい場所でも僕の存在を教えなくちゃ!」と犬同士、無言の縄張り意識が働いて、トイレではない場所でオシッコをしてしまう環境を作り出している可能性があります。
対策→
犬同士が、会ってからすぐにトイレスペースに連れていって排泄をさせましょう。もともと先住犬がトイレとしていた場所は、外から来た犬にはマーキングしたくなる場所です。マーキングする場所が決められたトイレであれば全く問題ナシ。トイレを覚えさせるためにも好都合です。
犬達がマーキングをするの可能性がある場合、同じ空間に居る間だけ、マナーベルト(または、マナーパンツ)を着用させましょう。飼い主さん同士がおしゃべりに夢中になる場合、犬達のマーキングを見逃す可能性も多いです。見つけてからよりも、事前の対策ができるのであれば、マナーベルトが有効です。最近では可愛いお洒落なものや、使い捨てのタイプなど豊富に販売されています。
マーキングした場所は臭いが残らないよう、拭き取ったあと、消臭剤などで清掃をする。お客様が帰った後に清掃するよりも、その場ですぐに掃除ができるように、犬が居る空間には雑巾と除菌消臭剤などの必要なグッズをカゴの中などにまとめて置いておくと良いでしょう。
留守番中に家のあちこちにマーキングをする
留守にしている間、トイレではない所にあちこちオシッコをしている場合、犬は決して留守番させられたことに腹を立ているわけでもなく、仕返しをしようなんても思っていません。考えられる要因としては、①飼い主さんが居なくなりストレスを感じたため、ストレスからの解放としての排泄行動をする。②留守の家の中を守ることに一生懸命なあまり、縄張りの意識が働く。
対策→
①の場合、犬が納得して留守番できるようなしつけ(1頭になることを苦と思わないよう)を練習する必要があります。また、①と②に共通することですが、留守番中に犬の行動範囲を狭くすることが必要です。広ければ犬の守備範囲も広くなり、落ち着ける環境を奪ってしまっていることと等しいのです。犬の行動や性質から考えた場合、広くて走り回れる=(イコール)自由ではないことを人間が理解する必要があります。
他の犬も居なくて、留守番もさせてないのに、飼い主さんの居る時にもマーキングする
既に、室内のあちこちでマーキングをしている犬は、自分の臭いが消えそうになったら、再び縄張りのオシルシを着けにいく几帳面な行動からくるものでしょう。まずは、これまで縄張りだとしてきた所の物を撤去するか掃除するなどして、今までのオシルシの証拠隠滅をしてください。キレイになった後の室内に、新たなマーキングをしないように飼い主さんは、犬の行動を管理する必要があります。
対策→
これまでマーキングしてきたものを全て洗浄し消臭する。カーペットなど布製品は臭いが染み込みやすいため、拭き取るだけでは不十分です。洗うか、(洗えるタイプのものに)買い換えることをオススメします。部屋で犬を自由にさせる場合、マナーベルトを着用させますが、マナーベルトを着用させているからといって、どこで足を上げても良いというものではありません。マーキングの行動自体を辞めさせたいのであれば、マナーベルト着用時に足を上げた瞬間を見逃さず、「あ〜っ!!(驚いた声)」または、「NO!(ノー)」や「ダメ!」などのコマンドで犬の気を反らせてマーキング行動の回数を減らすように管理しましょう。この場合、声のみのコマンドで充分です。できれば声は犬が興奮しないように低く太めの声が意識的に発すると良いです。この時、「叩く」や「叩くフリ」など犬に恐怖心を与える仕草は不要です。また、失敗したからといって犬を叱るのもNG!これは、見逃した飼い主さんのミスだと素直に受け止めて、マーキングした場所をすぐにに洗浄し消臭するなど冷静に対処してください。
オン&オフの時間管理でマーキングを減らすしつけ法
犬には、「室内で自由にできる活動時間(マナーベルト着用)」と、「クレートやサークル内で静かにしている休憩時間(マナーベルト着用しない)」のオンとオフのメリハリを覚えさせます。「室内で自由にできる活動時間」は逆に飼い主さんの「犬を管理する時間」ということを忘れないでください。飼い主さんは、マーキング回数を減らすことを目標として、犬から目を離さず見守り、失敗しないようにコマンドを使ってマーキングの回数を減らすように導きます。この時、過度にかまい過ぎるのも禁物です。飼い主に注意を払ってほしい時に注目させることが目的なので、静かに観察する程度で同じ空間で座っていればいいと思ってください。マーキングの回数が減り、犬にコマンドが伝わる関係が構築できたら、マナーベルトを外し、少しずつ犬の自由時間も長く伸ばしていくと良いでしょう。