要求吠えとは?

散歩やご飯の時間を催促したり、オヤツや遊びを催促したり… 気がつけば犬に指示されて行動してしまい、彼らの要求が叶うまで吠え続けられ、根負けして言いなりになってしまってないでしょうか?「要求吠え」は犬が“吠えたら要求が叶ったこと”の事実が積み重ねられたために学習したものです。逆に言うと、人間側から犬に学習(しつけ)した結果とも言えるでしょう。

怒るは意味ナシ、オヤツも不要!

吠える愛犬に対して、ヒステリックに「NO!」とか「ダメ!」などヒトの言葉で伝えていませんか?その言葉の意味を愛犬が理解しているか確認できているでしょうか?愛犬が言葉の意味を理解していないのに、言い続けることは無駄です。吠えの原因が「要求」だと明確なのであれば、解決方法はただひとつ「要求に応じないという堅い意思」です。炎天下のなかで水を欲する要求や、何日も食事をしていない空腹からの要求など、愛犬の生命に関わる事、危険な状況でないならば、しつけとしての「要求吠えに応じない」ルール作りは必要です。飼い主の環境や、生活スタイルによって、問題となる要求吠えは異なります。“犬は要求吠えをしてはダメ”なのではなく、それぞれの家庭環境で“これは困る”というケースのみあらためてルールの改正をするようにしましょう。

全ての要求吠えに共通する基本のしつけ方

徹底的に無視する

愛犬に反応すると、注目されたい犬の吠えがどんどんエスカレートし、諦めることを学びません。無視する“フリ”ではダメです。愛犬を見ず、目を合わせず、存在を認識しないように家事をしたり、部屋を出ていったりします。無視を終了するタイミングは吠えるのを止めて、完全に要求を諦め、他の事に興味を持ったり、精神的に落ち着いた状況であればOKです。吠えやめた直後だと、「①要求して吠える」→「②無視される」→「③吠えやめる」→「④要求が叶う」と、一連の行動が紐付けられてしまいます。吠え止めても要求を諦めず、「吠え止めたらいいんでしょ?じゃぁ、要求を叶えてくれるよね?」と、要求を諦めていない様子であれば、「無視」は無効です。しっかりと愛犬が要求を諦めて、落ち着いていることを確認しましょう。

クレートやハウスを活用

要求吠えを始めたら、黙ってオヤツは与えずにクレートやハウスの中に入れて、愛犬が落ち着くのを待つことも有効です。無視することと同様に、クレートの中に居る愛犬とは目を合わせず、吠えても声をかけず、諦めて落ち着くのを待ちます。吠えが酷い場合はクレートにブランケットやバスタオルなどを掛けて、愛犬から飼い主が見えないようにします。吠え止めて、ブランケットを外しても落ち着いてクレートの中で過ごしていられるようになったら、黙ってクレートから出してあげましょう。クレートは閉じ込めたり、罰を与える場所ではなく、愛犬が安心して過ごせる場所であり、落ち着きを取り戻す場所として上手く活用しましょう。

シーン別の対策

遊び

遊ぼう!と愛犬がコミュニケーションをしてくる姿は愛くるしく、飼い主と愛犬との絆も深まって素晴らしい事ですが、常に遊んであげられる環境に無い場合は断って諦めてもらう必要があります。愛犬がお気に入りのオモチャやボールを咥えて飼い主の足元に持ってきて「投げて」と吠える。(投げ続けるまで吠え続ける)または、オモチャのある場所を見て吠え続けるなど望まない行動をする場合、無視とクレートを実施しますが、愛犬のオモチャがいつでも床に転がっている事、愛犬の目の届く所にオモチャを置いてある事など、環境にも問題は潜んでいます。オモチャの時間の管理は、愛犬任せにせずに飼い主が主導権を持つように心がけましょう。

食事や散歩

規則正しい日常生活を送るあまり、食事や散歩の時間が決まっているご家庭も多いようです。そろそろご飯の時間、お散歩の時間だよと犬が知らせてくれることはありがたい事ですが、その正確な時間管理が問題となり、真夏の夕方5時にも散歩に行きたがったりすることは愛犬にとっても決して良いこととは言えません。不規則な生活を勧めるのでは決してありませんが、出来上がった時間割をリセットするためには、毎日のご飯や散歩の時間を多少ランダムに設定したり、お散歩時間は季節に応じて少しずつ時間を調整します。この時、愛犬が空腹で体調崩したり、排泄を我慢しない程度に気をつけて行います。帰宅したらすぐに散歩やご飯といった決まった行動パターンも要求吠えの学習を促すきっかけとなるため、日常の行動にも気をつけましょう。要求吠えを始めたら、基本のしつけ方「無視」と「クレートの活用」を実施します。

留守番時の吠え

愛犬を残して留守をする際、置いていかれた犬が飼い主を呼び戻そうと吠え続ける「要求吠え」があります。普段からクレートでひとりで過ごさせる練習をして、お留守番のしつけを行いましょう。また、外出の際の“行ってきます”や“ただいま”は犬には必要のない言葉です。留守番時に愛犬が不安になっているようであれば、外出の身支度にも余裕をもって準備をして、静かに家を出て行きましょう。